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マラソンランナーが筋トレをするメリットとは?代表的なメニュー例とともに解説。
皆さま、こんにちは。
ラクエルの鶴田です。
すっかり暖かな季節になりましたね。
20代の頃に具志堅用高さんのジムでボクシングをやっていました。
毎朝ロードワークでランニングをしていましたが、冬の寒さから解放されたこの時期が一番気持ちよく走れた記憶があります。
当時はトレーニングについての知識もなく闇雲に走っていましたが、トレーナーになって振り返ってみると「あの時もっとこうしておけば良かったな」と思うことが多々あります。
今回は、マラソンランナーの方のために、筋トレをするとランニングパフォーマンスにどのようなメリットがあるかということを解説して、最後に代表的な筋トレのメニューをご紹介したいと思います。
目標タイムクリアの為にぜひお役立てください!
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1.筋トレがランニングパフォーマンスを高める仕組み
2.デメリットは?筋トレに割く時間が無いときの対処策は?
3.マラソンのための筋トレメニュー(動画あり)
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筋トレがランニングパフォーマンスを高める仕組み
マラソンのパフォーマンスは以下の3つの指標によって決まります。
- 最大酸素摂取量
- 乳酸性作業閾値(乳酸に対してどれだけ強いか)
- ランニングエコノミー(ランニングの効率)
これらは皆さまが日々の練習を重ねるごとに徐々に向上していくものですが、筋トレはこの3つのうち、ランニングエコノミーを高める効果があります。
ランニングエコノミーとは、同じ酸素摂取量でどれだけ速く、どれだけ長く走れるかを表す指標で、自動車でいう燃費のようなものです。
筋トレを行うと、体中では以下のような反応が起こってランニングパフォーマンスにプラスになります。
- ランニング中に動員される筋繊維の数が増える
- アキレス腱が生むバネ力を増大させる
- 体幹-股関節-膝の連動を始めとした全身の動作効率が高まる
こういった反応が総合してランニングエコノミーが高めるのですが、実はこれらは普段のランニングトレーニングでは十分に刺激しづらい要素でもあります。
ところで、世界のトップランナーはどのくらい筋トレに時間を割いているのでしょうか。
多くの選手は週に5~9回のランニングトレーニングをして、筋トレは週1~3回の頻度で行われます。
ピークの大会に向けてのプログラムの変動はあるものの、平均的に全トレーニング時間の25%程度を筋トレに充てる場合が多いようです。
日本では、オリンピックの金メダル獲得や日本記録を更新した野口みずきさんが、筋トレに力を入れている様子が当時のテレビで時々紹介されていました。
今から10年以上も前のことだったので、先見性が非常に印象的だったのを覚えています。
また、筋トレはランニングパフォーマンスだけでなく、筋力の増強や動作パターンの改善によって、ケガの予防にも重要な役割を果たすので、快適なランナー生活を送るための土台作りに大きく貢献してくれます。
デメリットは?筋トレに割く時間が無いときの対処策は?
マラソンは、長い距離をいかに速く走れるかを目指す競技なので、筋トレをすると必要以上に筋肉がついてしまいタイムロスにつながるのではないか、という懸念を常に持たれがちです。
ですが、週1~3回のランニングのためにプログラムされた筋トレによって、体重が増加することはほとんど無いので安心してください。
筋トレのプログラム構成の組み方に加えて、日々のランニングトレーニングによってランナーの体には筋肉の肥大を抑える反応が起きるので体重は増えづらいのです。
また、筋トレによってお尻や腿の筋肉がわずかに増加することはありますが、タイムに影響があるほどの体重変化にはならず、むしろランニングパフォーマンスを高める方へ作用します。
そんなメリットだらけの筋トレですが、特に市民ランナーの方にとっては日々の時間の制約もある中で、ランニングトレーニングに加えて筋トレを行うのは大変な場合もあると思います。
そのような時の回避法のひとつとして、ランニングトレーニングと筋トレを同じ日に行うという選択肢があります。
ランニングも筋トレも基本的には、それぞれの疲労がお互いのパフォーマンスを下げてしまいます。
特にランニングの前に筋トレを行うと、数時間の休憩時間を挟んだとしても疲労によるマイナスの影響は大きいとされています。
順番としては、ランニングトレーニングを先に行って、可能であれば6時間ほどの休憩を挟んで筋トレを行うと、どちらの効果も高く維持することができます。
例えば、休日の朝にランニングをして、夜に筋トレを行うというパターンが定着すれば、平日に時間が取れない時も一定の筋トレ量を維持することができます。
(平日の夜に走って、翌日に筋トレというパターンももちろんOKです)
また、ジムに行かなくてもできる筋トレ種目もあるので、次項で解説するウォーキングランジやスクワットジャンプだけ行うというのも選択肢としてありです。
ランニングエコノミーの伸びしろは、ランニング技術が洗練されたトップランナーよりも市民ランナーの方の方が大きいので、上手に日々の生活に上手に筋トレを取り入れていただければと思います。
マラソンのための筋トレメニュー
続いて、マラソンのための筋トレメニューをご紹介します。
マラソンのパフォーマンスを高める筋トレの条件として、多くの研究が以下の内容を支持しています。
- 低負荷ではなく高負荷で行う
- マシンを使ったトレーニングよりもバーベルやダンベルなどを使う
- ひとつの関節でなく多関節を使う種目を行う
- 基礎筋力を高めるための種目と、筋肉の速い伸び縮みを伴う瞬発系の種目の両方を取り入れる
以上を踏まえて、メニューの一例をご紹介します。
一番下に動画もありますので動きの参考にしてください。
1.スクワット
スクワットは、ランニング中の脚全体のパワー発揮や、体幹と脚を中心とした全身の連動性を高めます。
回数は5~10回。重量は1~2割程度の余力があるくらい、または限界の重量で行ってください。
2~5セット行いましょう。
2.ルーマニアン・デッドリフト
ルーマニアンデッドリフトは、ランニングに欠かせないお尻やもも裏など体の背面の力発揮を高め、怪我の予防にも役立ちます。
スクワットと同じく5~10回、高重量、2~5セット行いましょう。
3.ウォーキング・ランジ
ウォーキングランジは、基礎筋力、全身の連動性、瞬発的な筋パワー発揮といったランニングに必要な要素を全般的に向上させます。
5~10回。高重は2~3割程度の余裕のある重量で2~5セット行いましょう。
4.スクワットジャンプ
スクワットジャンプは、1~3で鍛えた能力をランニングの瞬発的なパワーに転換します。
5~10回。3~4割程度の余力がある重量、もしくは自重でOK。限界の重量では行わないようにしましょう。1~4セット。
5.ハードルホップ
ハードルホップは、ランニング中のアキレス腱の弾性が増大させ、全身の連動性をよりランニングに近いレベルで強化します。
ハードルが無くても、等間隔で障害物を超える意識で行うと良いです。
5~10回。地面に足が着く時間をなるべく短く、瞬間的に地面で反発する感覚で行いましょう。1~4セット。
■以上の種目を動画にまとめました↓↓
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今回は、マラソンのランニングパフォーマンスを高める筋トレについてお伝えさせて頂きました。
始めは、筋トレのフォームを覚えたり、スケジュールに慣れる時間が必要ですが、一度馴染んでしまえばランナー生活が更に充実することは間違いありません。
ランニングトレーニングで最大酸素摂取量と乳酸性作業閾値を。
筋トレでランニングエコノミーを高めて、目標タイムをクリアを目指しましょう!