公式ブログ
- トピックス
- 鶴田学ブログ
肩こりの根本原因は何⁈《辛さを緩和する改善エクササイズの紹介》
皆さま、こんにちは。
ラクエルの鶴田です。
肩こりについて20代~60代の男女10万人に対して行った調査では、「肩こりがしばしばある」もしくは「ほどんどいつも」と答えた方は全体の38.3%だったそうです。
約4割の方が慢性的に肩こりに悩んでいるという状況ですが、肩こりは、肩の辛さだけにとどまらず、疲労の増大、思考力の低下、腰痛の誘発など、体に対して多くのデメリットがあります。
辛い部位をマッサージしたり、ストレッチをすることで一時的に症状を緩和することはできるのですが、根本的な原因が解消されないため時間が経つとまた辛さが戻ってしまいます。
今回は、肩こりの根本原因とその対象法についてお伝えしていと思います。
日々の辛さを軽減するために、ぜひお役立てください。
.
【目次】
…………………………………………
1.肩こりの根本原因
2.姿勢のポイントは「頭の位置」
3.良い姿勢の土台作り
・胸椎をほぐす
・首のインナーマッスル強化
4.良い姿勢の作り方
5.更に効果を高めるには
6.緊張を和らげる
・体へのアプローチ
・気持ちへのアプローチ
……………………………………………
肩こりの根本原因は
肩こりは、肩や首の筋肉が硬くなることによって起こります。
慢性的な肩こりの方はこの部位がカチカチに固まっていたり、モリッと隆起するほどパンパンになっていることがあります。
これらの筋肉を硬くしているものが肩こりの根本原因なのですが、一体それは何でしょうか?
答えは…
「姿勢の悪さ」と「緊張」です。
悪い姿勢で過ごしていると肩や首の筋肉には常に負担が掛かり続けます。
また、姿勢が良くても緊張をすると筋肉には無意識に力が入ってしまいます。
どちらも短時間であれば問題は無いのですが、例えば仕事、勉強、家事、育児、もしくは緊張を強いられる場などで、長い時間筋肉に負担が掛かり続けると徐々に筋肉は硬くなっていきます。
日々の生活の中で、この姿勢と緊張をいかに改善できるかが、肩こりの根本改善につながります。
姿勢のポイントは「頭の位置」
それでは、肩こりを防ぐ姿勢とはどのようなものでしょうか。
姿勢には様々なパターンがあり、一見すると複雑なように思えますが、肩こりを防ぐための姿勢のポイントは「頭の位置」に集約されます。
肩こりの辛さの原因になるのは肩と首の筋肉ですが、下の写真ように頭の位置が背中の面より前に飛び出てしまうと、首と肩の筋肉には頭を後ろへ引っ張り戻そうとする力が加わり続けることになります。
頭の重さは約4~6kgあるため、これを支え続けることは非常に大きな負荷になります。
そのため、肩こりを防ぐためには、頭の位置を背中の面まで引いて、筋肉になるべく負担を掛けない位置におくことが必要になります。
ちなみに、パソコン作業、勉強、家事などをしているときは、ずっと背すじを90度に起こしておく必要はありません。
時にはイスに背をもたれたり、作業によっては背中が丸くなることもあると思いますが、その時も、下の写真のように頭の位置を背中の面の延長上に引いておければ、それほど悪影響はありません。
反対に、良い姿勢であっても同じ体制が長時間続けば筋肉を硬くする要因になるので、時々姿勢を変えながら作業を行うことも肩こりを防ぐためには有効です。
良い姿勢の土台作り
それでは、良い姿勢の土台を作るためのエクササイズを紹介します。
この土台ができた後に、良い姿勢の作り方を解説します。
ここではまず、体に染みついた姿勢のクセを取り除くために「背骨の硬さ」と「首の角度」の改善を行います。
背骨(専門的には《胸椎 きょうつい》と言います)は体の中でも最も固まりやすい部位で、肩こりになっている多く方が背中が丸いまま固まっているため、ほぐす作業を行います。
首は反対に可動性が大きく、正しい位置からズレやすいため、頭を正しい位置にキープできるようにインナーマッスルを強化します。
それぞれのエクササイズは、ページの一番下にある動画でも見ることができますのでぜひ参考にしてください。
背骨(胸椎)をほぐす
1.胸椎をねじる動作
横向きに寝て、上の脚をクロスさせたら、片手を頭の下へ置く姿勢をとりましょう。
息を吐きながら肘と肘を近づけて、吸いながら外へ開く動作きを4~10回行ってください。
この動作を行いながら、背骨を捻じることで先ほどの胸椎の硬さがほぐれていきます。
ゆっくりとした動作で、目線で肘を追いけけるように行うと効果的です。
2.胸椎を反る動作
バスタオル、もしくはフェイスタオル3~4枚を丸めて円筒状にしましょう。
タオルを背中の一番丸まっている箇所に当てて、バンザイをしてください。
この時、背中と床、首と床の両方の隙間をなるべく小さくするように、床方向へ押し付けます。(青矢印)
このようにするとタオルを支点に背骨に反る力が加わるので、このまま4~10回深呼吸をしましょう。
肩が痛くて腕が上がらない場合は、痛くない角度に開いて行って下さい。
この2種目で胸椎が緩み、背筋を伸ばすために役立ちます。
首のインナーマッスル強化
1.仰向け
仰向けになって、二重アゴを作るようにアゴを引いてください。
首と床の隙間を小さくするようにすると良いです。
アゴを引いたまま頭をわずかに浮かせてましょう。
呼吸をしながら5~10秒キープしてください。
下の写真のように、頭を浮かせた時に、顔の角度が上がりすぎたり、アゴが抜けないようにしましょう。
首の横よりも、正面の筋肉がきつくなるように、アゴの引きと顔の角度を調節して行ってください。
首の正面のインナーマッスルがプルプルする感覚が出ると良いサインです。
2.うつ伏せ
次はうつ伏せになって、アゴを引きましょう。
先ほどと同じように二重アゴを作る意識で行って下さい。
アゴを引いたまま、首を天井に引き上げるようにして、顔をわずかに浮かせましょう。
この姿勢で5~10秒キープしてください。
顔の角度が上がり過ぎてしまったり、腰を反って顔を浮かせないように、アゴを引いたまま首だけの動きで行いましょう。
先ほどと同じように首の正面の筋肉を使って顔を浮かせる意識で行いましょう。
このインナーマッスルの働きが、頭を背中の延長上に引く感覚につながります。
良い姿勢の作り方
胸椎と首のインナーマッスルの土台ができたら、以下の手順で良い姿勢の作っていきます。
1.イスに座って、骨盤を後ろ、胸を前に落とす意識で、背中を丸めた姿勢を作ります。(左画像)
2.背中は丸めたまま(胸は前に落としたまま)で骨盤だけ起こしましょう。(右画像)
骨盤の起こす動作は、お尻だけを反る感覚で強めに入れてください。
3.この姿勢ができたら、背骨を下から一個ずつ起こしていって、最後にアゴが上がらないように、頭を後ろに引きながら起こしましょう。
ピラティスのロールダウンを座って行うような感覚で、背骨を上に引き上げながら体を起こしてください。
下の画像のように、背骨を前に押し出してしまうと反り腰になってしまうのでNGです。(左側)
最後に頭が前に残らないことも気をつけましょう。(右側)
この動きを反復練習して、良い姿勢を作る感覚を覚えてください。
更に効果を高めるには
良い姿勢に直接影響するのは、今お伝えした胸椎と首のポジションですが、それ以外にも骨盤、股関節、肩甲骨など体全体のバランスの上に姿勢は成り立っています。
そのため、全身的に主要な部位の動きを整えることができると、より自然な姿勢作りに役立ちます。
以下の動画は筋トレのウォーミングアップ用に作ったものですが、肩こり改善の効果を更に高めるために、あるいは日々の疲労回復のためにも役立ちますので、ぜひ行ってみてください。
全身のダイナミックストレッチ6分間(youtube .ラクエルチャンネル)
緊張を和らげる
続いて、姿勢と並んで肩こりの原因になる緊張の緩和についてお伝えしていきます。
緊張すると筋肉は無意識に力んでしまいます。
緊張度合いにもよりますが、例え良い姿勢を作っていても、筋肉に力が入り続ければ数分で肩が凝ってしまうこともあります。
そもそも緊張は心理的な反応なのでゼロにすることは難しいですが、以下の2つの方法で和らげることは可能です。
- 体にアプローチする
- 気持ちにアプローチする
体にアプローチする
緊張すると筋肉は無意識に力みます。そして、その影響で呼吸は浅くなり、姿勢も悪くなります。
そのことがより筋肉が硬くなりやすい状況を作ります。
加えて、筋肉が硬くなると筋肉の緊張が脳に伝わるので、緊張がさらなる緊張を生むという悪循環も起こってしまいます。
そのようなときに有効なのが、呼吸や各部位の筋肉の拘縮に対してアプローチをすることです。
心理的な反応とは違って、これらは自分で変化させることができますので、緊張を緩和する足掛かりとなります。
1.深い呼吸をする
緊張をすると、それにつられて呼吸も浅くなります。
そのような時、意識的に深呼吸をしても多くの場合が長続きせず、すぐ元の浅い呼吸に戻ってしまいます。
その理由はしっかり息を吐き切れていないことにあります。
吐く息が小さくなると横隔膜が大きく動けず、深い呼吸が定着しません。
深い呼吸は緊張緩和のための大きな武器になりますので、以下の手順で呼吸の練習を行ってみてください。
1.先ほどの要領で良い姿勢を作った上で、あばら骨を両手でつかみましょう。
2.口を細くしてフーッと吐いていきますが、この時に腹筋を使ってあばら骨を内側に絞るように吐いてください(右画像)。指と指の距離が縮まるようにあばらの直径を細して吐きましょう。
3.吸うときはできれば鼻から、みぞおち~おへそに空気を届けるように、お腹を膨らませながら吸いましょう。
下の写真のように胸や肩を上げて吸うのはNGで、お腹に向けて吸うようにしましょう。
深い呼吸はマインドフルネスの手法にも通じていて、呼吸に意識を向けることで脳が空回りすることを防ぎ、物ごとに焦らず取り組むためにも役立ちます。
2.固まっている筋肉をストレッチする
筋肉が硬くなると、交感神経が刺激されて更なる緊張の元になります。
・緊張によって筋肉が硬くなる
↓
・硬い筋肉から緊張の信号が発せられてより緊張する
このような負のサイクルを止めるためには、硬くなった筋肉をほぐすことも有効です。
ここでは肩こりを起こす主要な筋肉のストレッチを3種目ご紹介します。
(詳しい形はページ下の動画もご覧ください)
首の真横のストレッチ
・耳に指が掛かるように頭の側面を大きくつかみましょう
・そのまま真横に倒して、首の横を伸ばしましょう
・気持ち良い強さで、深呼吸を3~4回(30秒程度)行って下さい
斜め後ろのストレッチ
・頭の斜め後ろを深くつかみましょう
・アゴを肩の方向へ近づけるようにして、斜め前に倒してストレッチしましょう
・気持ち良い強さで、深呼吸を3~4回(30秒程度)行って下さい
斜め前面のストレッチ
・片手を腰に回して、反対の手でアゴを包むようにつかみましょう
・顔をやや上に向けて、手の力でアゴを横に引っぱり、首の斜め前面を伸ばしましょう
・気持ち良い強さで、深呼吸を3~4回(30秒程度)行って下さい
ストレッチはゆっくり呼吸をしながら行うと効果的なので、先ほどの呼吸とセットで行うと一石二鳥です。
「肩こりが辛いなと感じたらストレッチ」というパターンを習慣化して、こまめに緊張をほぐしましょう。
3.一点を凝視しない
私たちの目の神経と緊張は密接に関係していて、パソコンやスマホの画面、本、ノートなどで一点を凝視すると、緊張度が高まるようにできています。
ですので、長時間、目を使った細かい作業をするときは、10分に1度くらいは遠くを見たり、眼球を上下左右に動かすようにしましょう。
・近くの指に10秒間ピントを合わせて、その後遠くにピントを合わせる。
・もしくは、遠くの景色や天井・壁に目を向けるのも良いです
・眼球を上下左右にゆっくり大きく動かす
目も筋肉によって動いているので、首肩の筋肉と同様にこまめにほぐすことで緊張の緩和に役立ちます。
気持ちにアプローチする
続いて、気持ちに対するアプローチについてお話します。
そもそも緊張は、仕事、勉強、育児、人前での発表など、自分が乗り越えるべき課題と向き合うときに起きる反応です。
完全にその状況に慣れてしまえば緊張もしなくなりますが、日々私たちが向き合う課題は小さいものばかりではありません。
大切なのは、緊張を消そうとしたり逃れるようとすることではなく、緊張を悪循環させず自分の持っているパフォーマンスを十分発揮できるようにすることだと思います。
アスリートがよく言う「緊張を楽しむ」という言葉は、それを表しているのだと思います。
心理的なことは専門外なのであまり深堀りはできませんが、日々トレーナーとして多くの方と接してきた経験から、気持ちの面での考え方をお伝えしたいと思います。
普段、私たちが感じる緊張の多くは、
- 難しい
- 手間が掛かる
- 間に合わないかもしれない
- 上手くいかなかったらどうしよう
という不安や焦りから起こる場合が多いです。
そして、この焦りや不安は元をたどると「怖い」という感情に行きつくはずです。
- 難しくて手に負えないことが怖い
- 手間が掛かって時間に追われることが怖い
- ノルマ・約束に間に合わないことが怖い
- 上手くいかず他人の評価または自己評価が落ちることが怖い
私たちの脳は不安や焦りを感じると、記憶から必要な情報を引き出すことや、細かな作業をコントロールすることが難しくなります。
そのため様々なパフォーマンスが落ちて、更なる怖さを生む状況になってしまいます。
このようなときは、以下の手順を踏むと良いです。
————————–
1.怖さの原因と大きさを明らかにする
時間が迫っている、○○さんからの評価が気になる、など怖さの原因を具体的に考える。
焦ったり萎縮することで、その怖さは小さくならないことを理解する。
2.今できる緊張の緩和策を行う
深呼吸する、ストレッチをする、一旦席を離れて立ち歩くなどして体の現状を変える。
3.今の自分にできる努力に集中する
必要以上の恐怖心や緊張を取り除いた上で、今自分にできるパフォーマンスに集中する。
————————–
緊張の悪循環を防ぐには、緊張から逃れたり消そうとするのではなく、頭を整理し、体を整えた上で、自分が出せるパフォーマンスに注力して、今向き合っている課題を進捗させることが大切です。
緊張をすると、その感情を掻き消そうとしたり、必要以上に先の不安を考えてしまったりしますが、それで怖さの原因が小さくなることはありません。
姿勢・呼吸・ストレッチなどを武器にしながら、課題に対して前向きに取り組みましょう。
その結果「緊張を楽しむ」という状況を少しずつ感じることができるようになって、肩こりにつながる悪い緊張も軽減されていくはずです。
● ○ ● ○
今回は、肩こりの根本原因は「姿勢」と「緊張」ということ。
そして、良い姿勢を作るためのエクササイズ、緊張を和らげるための対処法についてお伝えさせて頂きました。
長い内容になってしまったので、読みながら肩が凝ってしまったかもしれませんが…
今日ご紹介した対処法を少しずつ実践していくことで、日々の辛さが緩和させ、一分一秒がより充実したものに変えていきましょう。
良い姿勢・良い呼吸・緊張を楽しむ感覚と共に肩こり解消を目指しましょう。